抽象画を観る

東京、ARTIZON MUSEUMで抽象画に関する展覧会を鑑賞。

「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開

 セザンヌフォーヴィスムキュビスムから現代へ」

 

抽象画の源泉から現代までの作品を網羅的に展示、

その時代背景や変遷の過程も確認できるような内容。

会期末ギリギリでどうしても見たいと思って、東京へ強行、

でもその甲斐あって、まさに、今の自分にちょうどいい内容で面白かった。

 

抽象画の大元といえばやはりこの人から、で、

いつものセザンヌから始まって、キュビスムフォーヴィスムの展開で

ピカソやブラック、マティスらの作品があって、

それが抽象絵画の、カンディンスキーポロック、ロスコーなんかの

作品につながっていく様子が、

作品とともに確認できる。

これは面白いね。

初めて観る作品も多くて、大いに参考になった。

 

こう観ると、やっぱりキュビスムの与えた影響って大きいのかな、

ピカソキュビスムは決して抽象画ではないのだけれど、

その受け捉え方から、形の解放と構成主義やらに繋がったのはわかるし、

精神性の表現へのきっかけになったのもわかる気がする。

でも、ピカソは純粋なキュビスム表現を数年で辞めちゃうんだよね。

この辺りは、天才ピカソ故、他の画家には到達できない

幅の広さがあるのだろうけども。

 

そして、抽象画はここから先なんだよな、

20世紀も後半になって、その後現代作家が出てきて、という部分に

多くの展示スペースが割かれているのだけれど、

特に現代作家かな、まさに抽象画で、

作品の作り方、描き方に面白い手法を用いているのだけれども、

その作法を見つけたのがすごいのか、

出来上がった作品はどうなのか、

そこがうまく繋がっていない作品がある気がするんだ。

 

結局のところ、大きな作品を発表し続けた、というところに

重きがあるような気がしてならないんだよな。

もちろん抽象画なんで、観る方としては、感じるか、否かで

構わないと思うのだけれど、

それを作成する立場でもある自分には、

評論家やコレクター的な見方は出来ないんで、

表現方法を見つけた以上のものを作品から

見つけ出したいのだけれどもな。

 

この辺り、現在のコレクター、オークションビジネスによる

影響も大きいのだろうけど、

現代美術の混沌は、自分はかなり引いて観てる感じなので、

抽象絵画がそのあたりに繋がってしまうのが、

残念ではあるのだけれどな。

 

まあ、でも単純に「感じる」作品もあるから、

現代の抽象画って世間ではなるほどなって感じを持って

自身の制作に向き合いたいものだ、な、

とか、確認できる良い機会でした。